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とあるカラスの邁進記

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CP>仕組み>基礎>SaaS

■SaaSは無視できない動向

 「SaaS」(Software as a Service:「サース」あるいは「サーズ」と発音されます)が注目を集めています。SaaSとは、ソフトウェアをユーザー側に導入するのではなく、ベンダ(プロバイダ)側で稼働し、ソフトウェアの機能をユーザーがネットワーク経由で活用する形態を指します。米セールスフォース・ドットコムなどの SaaS専業ベンダが急成長しており、さらに、SAPやオラクルなどの従来型のソフトウェア・ベンダもSaaS型のビジネスに乗り出しています。ほとんどの企業にとってSaaSは無視できない動向といえるでしょう。

SaaSの定義:ASPとはどこが違う?

 簡単にいってしまえば、SaaSとは「ソフトウェアの機能をネットワーク経由で利用する」という形態です。下図に示すように、IT機能のうちどこまでを自社で行い、どこまでを社外に任せるかという観点でSaaSを位置付けてみると分かりやすいでしょう。過去においてはすべてのIT機能を社内で実行する「インハウス型」のモデルが通常でしたが、今日においては必要に応じて特定機能を社外の専門家に任せるモデルが一般化しています。例えば、施設からビジネスプロセスまでをすべて社外に任せるモデルは「BPO」(Business Process Outsourcing)と呼ばれます。SaaSはソフトウェアの稼働までを社外に任せるモデルであるといえます。

 通常、SaaSでは、ユーザー数に応じた従量制の課金モデルが採用されます。電気や水道などと類似の課金モデルであることから、「ユーティリティ型料金」と呼ばれることもあります。

 ここでよく聞かれる質問に、SaaSと「ASP」(Application Service Provider)のモデルとどこが違うのかというものがあります。ベンダ側ではさまざまな説明をしているようですが、あまり本質的な相違はないというのが正直なところでしょう。両者の違いを厳密に議論しても実りは少ないと思います。「SaaSは過去におけるASPと本質的には同じではあるが、その重要性が飛躍的に大きくなっていることから、マーケティング的な観点で新しい名称で呼ぶことにしました」というのが妥当なところでしょう。

ユーティリティ


SaaSとSOA:「サービス」という言葉の意味

 SaaSと「SOA」(Service- Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ)は、どちらも「サービス」という言葉が使用されていることから、その位置付けが混同されることがあります。しかし、実際には両者は関連してはいますが、全く独立した概念です。一般に、ITの世界では「サービス」という言葉はさまざまな意味で使われていますので注意が必要です。

 SaaSにおける「サービス」とは「ソフトウェアの機能」というニュアンスの言葉です。ソフトウェアそのものではなく、機能を(ネットワーク経由で)提供するというイメージです。一方、SOAにおけるサービスとは「業務上のサービス(労務)を実現するためのソフトウェア部品」というニュアンスの言葉です。サービスと呼ぶよりもビジネス・コンポーネントと呼んだ方が分かりやすいかもしれません。

 SaaSとSOAは異なる概念ですが、両者が将来的に融合していくことは十分考えられるシナリオです。現時点のSaaSではアプリケーション・ソフトウェアの機能が丸ごとネットワーク経由で提供されるのが普通です。しかし、アプリケーション内の特定機能をネットワーク経由で提供し、ユーザーのインハウスのシステムと統合して使用したり、複数のSaaSプロバイダが提供するソフトウェア部品をユーザーが自由に組み合わせて使用することが当然考えられます。このような形態はSOA的なSaaSと呼ぶことができるでしょう。

 今日においても、SaaSベンダが自社のソフトウェアに対する外部インターフェイス(外部との接続)の切り口を用意することが多くなっており、SOA的なSaaSが一般化の兆しを見せています。

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SaaSのメリット:最大の利点は俊敏性にあり

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 SaaS採用の最大のメリットは俊敏性にあるといえるでしょう。つまり、スピードです。極端なことをいえば、申し込んだその日からシステムの機能を利用することができます。これに対して、インハウス型のシステムでは実装までに少なくとも数カ月の期間を要することがよくあります。

 また、SaaSではシステムが稼働開始した後の環境の変化にも迅速に対応することができます。業務拡大によりユーザー数が増加した場合、あるいは、予測よりも需要が低くユーザー数が減少した場合にも迅速に対応することができます。料金は通常従量制なので使用した分だけ支払えばよいわけです(ただし、ユーザー数が減少した場合は契約上何らかの制限があることもあります)。インハウス型のシステムでは、マシンの調達などの点で処理能力の急増に迅速に答えることは難しいですし、需要が予測より小さかった場合にはハードウェア料金の無駄が発生することになってしまいます。

 コストについてはどうでしょうか? SaaSの方が有利なケースが多いですが、場合によるといっていいでしょう。SaaSでは通常、初期コストは安価に済みますが、その後は継続的に料金を支払う必要が生じます。一方、インハウスのシステムは導入までには多額の費用が掛かりますが、サービスイン後のコストは比較的低く済みます。故に、システムのライフサイクルを考えた総合的なコストの比較が必要です。なお、インハウス型のシステムではシステムの運用コストや設置スペース、電源、空調などの環境コストも含めてSaaSとの比較を行うべきなのはいうまでもありません 。

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SaaSの考慮点:大幅なカスタマイズは無理

 もちろん、SaaS採用のうえでの考慮点はあります。SaaSでは、ベンダが提供するソフトウェアを基本的にはそのままで利用することになります。ベンダの開発努力により、過去と比較してSaaSのカスタマイズ機能は大きく向上していますが、それでもインハウスの形態と同じように自由な機能拡張を行えるわけではありません。また、自社内の既存システムとの連携という点でもインハウス型のシステムが有利です。これは当然のことでしょう。

 本当に自社独自のソリューションが必要なのであれば、SaaSは不向きです。ただし、ここで、本当に自社独自のソリューションが必要なのか(無理に他社と違うことをやろうとしているだけではないのか)という点については、十分に検討を行う必要があるでしょう。

 もう1つ、サービスレベルに関する考慮点があります。この場合、サービスレベルとは主に性能と可用性(アップタイム)のことを指します。もちろん、 SaaSベンダは問題がない性能と可用性を提供するために努力はしているのですが、実際にどのレベルまで保証してくれるのか、また、万一障害が発生した場合にはどのように補償されるのかについては十分に検討を行っておく必要があるでしょう。もちろん、インハウスのシステムにおいてもサービスレベルの検討は必要です。しかし、SaaSの場合には社外との検討が必要であるという点に留意しておくべきです。


SaaSは将来どうなる?

 SaaSが今後順調に拡大していくことは間違いありません。これは、ITに限らずすべてを自社でやるのではなく、必要に応じて外部の専門家に任せるという考え方が常識化していることから、当然のことといえます。

 しかし、前述のようにSaaS方式と自社内にシステムを抱えるインハウス方式にはそれぞれ一長一短があります。故に、ほとんどの企業ではSaaS方式とインハウス方式が共存していくことになるでしょう。それほど差別化が必要でないシステム、迅速な立ち上げが必要な短期戦術的システム、試験的に稼働してみるシステムにおいてはSaaS方式が中心となることが多いでしょう。また、企業の差別化に直接結び付くシステムや絶対的な安定稼働が要求されるシステムでは、インハウス方式が今後も利用されていくことになるでしょう。

 具体的にどのシステムをSaaS化すべきかは、企業により異なります。これは、どのシステムを差別化要素とするかは企業の経営戦略に直結する問題であり、1つの定まったやり方があるわけではないからです。


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  1. 2009/01/24(土) 06:51:05|
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